この記事では「タイで女性が出家出来ない理由と現状」について紹介しています。
最近ツイッター上で小林愛さんというモデルの方が話題になっています。
小林愛さんについては別の記事で詳しく説明しますが、簡単に説明すると小林さんは父親が日本人、母親がタイ人のハーフモデルで、ミスユニバース・ジャパンの福島代表(2017)を務め、そして今はプロ奢ラレヤーさんの企画でタイに飛ばされています。
必見👉全財産を失った私の今日の宿はこちらです。
さすが自然と共に生きる自由の国タイ!何でも揃っています。
一文無しなのに今夜は快適に過ごせそうな予感です。#1ヶ月5万円生活 #タイ編 #現在一文無し pic.twitter.com/FZXVDK72wL
— 小林 愛@旅するモデル (@powa28) 2019年3月11日
一ヶ月で5万円しか使えない企画なので野宿をしたりスラムでご飯をもらったりかなり破天荒(というか自殺行為?)なツイートをしていて賛否両論飛び交っています。
そんな小林さんですが、先日こんなツイートをしていました。
— 小林 愛@旅するモデル (@powa28) 2019年3月14日
なんとタイで出家するんだとか。
もちろん髪も剃ってないので本当に出家する訳ではないようです。あんな黒髪ロングのお坊さんがいたらびっくりします。
あくまで「出家体験」程度のことでしょう。
しかし去年タイに5回行って貯金が尽きた私はこう思いました。
あれ?タイって女性の僧侶いたっけ?というか出家出来なくない?
そうです。タイではそもそも女性の出家が許されていないのです。
つまり女性である小林さんはそもそも出家することが出来ません。
でも日本には出家した女性の僧侶(尼さん)がいるのにどうしてタイにはいないのか気になりますよね。
そこで今回はタイで女性が出家出来ない理由とその経緯についてちょこっと紹介します。
タイで女性が出家出来ない理由
まず「タイで女性が出家出来ない理由」を考える前にタイの仏教について簡単に知っておく必要があります。
タイは「上座部仏教」
お釈迦様が開いた仏教には大きく2つの派閥があります。
- 大乗仏教
- 上座部仏教(小乗仏教)
多分高校の歴史で学ぶと思うので名前くらいは聞いたことがあると思います。
この2つの派閥について簡単に説明するとこうなります。
- 大乗仏教→どんな人でも救われる
- 小乗仏教→出家して修行をした人だけ救われる
「どんな人でも救われる」から「大乗(大きな乗り物)」、「出家して修行した人だけ救われる」から小乗(小さな乗り物)」と理解しておいて大丈夫です。
そしてタイをはじめ東南アジア諸国(ミャンマー、スリランカ、カンボジアなど)には上座部仏教(小乗仏教)が伝わりました。
インドから南側を経由して伝わったので南伝仏教と呼ばれています。
ちなみに日本は大乗仏教を信仰しており、中国経由で伝わったので北伝仏教とも呼ばれています。
- 大乗仏教(北伝仏教)→中国経由で日本に伝わる
- 小乗仏教(南伝仏教)→東南アジアに伝わる
上座部仏教は女性が出家出来ない
上座部仏教では女性が出家して僧侶(比丘尼)になることを禁じています。
ということはつまりタイをはじめ上座部仏教を信仰している国ではそもそも女性は出家出来ないのです。
これはタイだけの問題ではないのです。
女性の出家が出来なくなった経緯
上座部仏教で女性が出家出来なくなったことには歴史的な経緯があります。
その経緯とはスリランカや東南アジアの上座部仏教社会で、比丘尼(女性の僧侶)のサンガが解体されてしまったことです。
サンガとは簡単に言えば出家した僧侶の集団(グループ)のことを指します。
上座部仏教では出家する時にサンガの中で正式な授戒を行ってもらう必要があります。
出家を承認してくれる人(団体)が必ず必要なんですね。
しかし、歴史的な経緯もあって比丘尼のサンガはかなり早い段階で解体されてしまいました。
出家を承認してくれる人(団体)がいなくなってしまった訳です。
なので出家したくても出来なくなってしまったんですね。
女性は修行者(メーチー)にしかなれない
しかしそれでも仏道を志したいという女性が少なからずいます。
そんな時に女性はメーチー(แม่ชี)という仏教修行者になります。
メーチーは正式な出家者ではないので黄衣を着ることは出来ません。
代わりに白衣を纏い剃髪もしくは短髪にして十戒を守って生活します。
しかし中には正式な仏教出家者を望む修行者もいて、そういう人はインドやスリランカで正式に授戒するんだそうです。
タイにいる比丘尼の数
今現在タイには約270人の女性僧侶(比丘尼)がいます。
しかしタイでは1928年から女性の受戒が禁止されているので全員が国外で受戒し、タイに戻ってきています。
ちなみにタイの男性僧侶の数は25万人。圧倒的に多いです。
女性差別ではないのか?
「男性だけが出家出来て女性が出家出来ない」と聞くとフェミニストの方々はすぐにブチギレそうですね。
しかし、国内では出家出来なくても国外で受戒してから戻ってくればいいことを考えると一概に女性蔑視や女性差別とは言えない気がします。
タイの国家仏教庁の広報担当もだいたい同じような回答をしています。
しかし国外で受戒してからもう一度戻ってきていいのならそもそも国内でも受戒出来るようにしても変わらないと思うのですが、そこはやはり宗教と伝統の領域なので合理性を物差しにするべきではないのでしょう。
まとめ
今回はタイにおける女性の出家禁止の理由とその歴史的経緯についてちょこっと紹介しました。
小林愛さんのツイートきっかけで色々と調べてみたのですが自分でも知らないことばかりでとても勉強になりました。
タイに行く前にこういう豆知識を知っておけば、より深くタイの文化や宗教を味わうことが出来ますね。
ちなみにこれからタイ旅行に行く方はたーれっくさんのkindleマンガを読むことをおすすめします。
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