先日放送された「ナカイの窓」でスタジオの出演者たちがコンビニで働く外国人労働者たちの日本語を笑いものにする様子が流され、ツイッターで話題になっています。
メディアの功罪は大きい。コンビニで使う日本語は複雑でかなり日本語力の高い方でないと務まらない。そのレベルの日本語学習者ですら「笑いもの」になるのだとしたら、この先、怖くて非母語話者の多くが日本語を話せなくなる。
『ナカイの窓』で外国人労働者を嘲笑して大炎上 https://t.co/2n3xdowUov
— 田中宝紀 IKI TANAKA (@iki_tanaka) 2019年3月2日
これを見るといかに日本がガラパゴス化しているのかがわかります。
別にコンビニで使われる日本語がそこまで複雑だとは思いませんが、そもそも習得が困難である日本語を使って日本で日本人相手に仕事をしている時点で感心すべきことだとは思います。
そこで今回は日本語習得の難しさについて少しだけ書きます。
日本語は難しい
FSI米国務省外務職員局の調査
FSI(Foreign Service Institute’s School)というアメリカの公式機関によると英語ネイティブにとって最も習得に時間がかかる言語は日本語とされています。(参考:FSI’s Experience with Language Learning)
FSIは外国語を難易度別に4つのカテゴリーに分類しています。
英語と言語的に近い外国語ほど習得が早いとされており、日本語は最も難しいとされるカテゴリー4に分類されています。
カテゴリー1(600〜750時間)
Danish (24 weeks) |
Dutch (24 weeks) |
French (30 weeks) |
Italian (24 weeks) |
Norwegian (24 weeks) |
Portuguese (24 weeks) |
Romanian (24 weeks) |
Spanish (24 weeks) |
Swedish (24 weeks) |
カテゴリー2(900時間)
German |
Haitian Creole |
Indonesian |
Malay |
Swahili |
カテゴリー3(1100時間)
Albanian |
Amharic |
Armenian |
Azerbaijani |
Bengali |
Bulgarian |
Burmese |
Czech |
Dari |
Estonian |
Farsi |
Finnish |
Georgian |
Greek |
Hausa |
Hebrew |
Hindi |
Hungarian |
Icelandic |
Kazakh |
Khmer |
カテゴリー4(2200時間)
Arabic |
Chinese – Cantonese |
Chinese – Mandarin |
Japanese |
Korean |
ご覧のように日本語はカテゴリー4に分類されています。
つまり英語を母国語とする人にとって日本語は大変習得が難しいのです。
日本語は複雑
日本語が難しい理由として次の5つが挙げられています。
- 音読みと訓読み
- 語彙数が多い
- 主語が省略されている
- オノマトペ(擬声語)が多い
- 方言が多い
確かに言われればそうですね。
母国語として自然に学んでいれば特に気にしませんが、これを外国語としてゼロから学ぶとなると相当難しいです。
中国人・韓国人にとっては比較的簡単
しかし上のデータはあくまで英語を母国語として話す人たち(主にアメリカ人)にとっての外国語習得難易度であって、他の言葉を話す人たちにとって日本語はそれほど難しくないのかもしれません。
例えば中国人が日本語を学ぶ場合は漢字を覚える必要はありませんよね。
また韓国語の中には日本語と同じ発音で同じ意味を持つ言葉が多くあるので、単語を覚えるのは比較的ラクだと言ってもいいかもしれません。
さらに日本語は発音が55音しかないので、もっと多くの発音がある言語にとっては日本語の発音をゼロから全て覚える必要はありません。
それでも日本語は難しい
しかし、中国や韓国を除き、多くの外国人にとって日本語は全く違って言語であることは間違いありません。
それは地理的にも日本が島国であり、他の国の言語の影響が比較的少なかったこととも関係しているかも知れません。
例えば陸続きで国境を接しているタイやカンボジアやラオスなどは、そもそも同じ言葉から派生して出来た言葉を使っていたりするので、お互いの言語を使ってもコミュニケーション出来ることがあります。
ドイツ語と英語とオランダ語なんかも同じゲルマン語派に属するのでかなり似ています。
しかし、日本語は漢字を除いて独自の発展を遂げたので、他の言語との類似点をあまり見出すことが出来ません。
このことが多くの外国人にとって日本語習得を困難にさせているのではないかと思われます。
まとめ〜恥の文化〜
今回は日本語習得に難しさについて調べてみました。
今ではコンビニだけでなく、ファミレスやホテルでもたくさんの外国人労働者を目にします。
彼らの多くが流暢な日本語を話すわけではありませんが、それでも十分通じる日本語を話します。
彼らにとって外国語である日本語を使って仕事をしている時点で感心すべきだと思います。
おそらく「ナカイの窓」で外国人の日本語を笑いものにした要因は日本人の「恥の文化」にあるのではないかと思います。
これは英語を話したがらない日本人を見ればよく分かります。彼らは訛った英語を話す自分を恥ずかしいと感じるから英語を話したがりません。
英語を話したとしても、間違った発音になるのが怖いから、わざとカタカタ英語を話したりします。
日本人がカタカナ英語を話す場面は日常茶飯事ですよね。ネイティブのように巻き舌にしたりして変な発音になるのが嫌だから、わざとカタカナ英語を使って「私英語全然出来ません。でも頑張って話てます」アピールをするのです。
これは日本独特の「恥の文化」がまだ日本人の精神に染み付いてるからだろうと思います。
完璧な発音の英語を話す必要はありません。
インド人の英語は訛ってるし、シンガポール人の英語も訛っています。でもコミュニケーションが取れればいいんです。
「綺麗な発音のアメリカ英語やイギリス英語だけが英語だ」と思っている時点で、今後日本が国際社会に付いて行くのはかなり厳しいのではないでしょうか。
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